なぜEMS(環境マネジメントシステム)に取組むのか ②(2011.6)
大切なことは資格でなくて中身
EMS 支援をしている私たちが言うのも変ですが、誤解を覚悟で敢えて言いますと、資格取得が目的ではないはずです。資格は目的に近づくための一つの手助けです。このことに思い至れば、自分たちがすべきこと、できることはたくさん見えてくるはずです。
豊かな自然に接したり、落ち着いた景観を眺めて心が満たされるのは、それが飾らない出会いだからだと思います。何事も自然体がいいです。無理して取得した認証は自らの首を絞めかねません。初めての認証取得に苦労することは当然ですが、本意でない資格取得は後で無理が来ます。やらされる認証取得でなくて、やりたい認証取得の方が良いに越したことはありません。
説明会や講習会などで、半ば脅されるように、あれもやらねばならない、これもしなきゃならん……と思い詰める時は思い切って見直すことも必要でしょう。EMS以前まで立ち戻って、自分たちはなぜ環境に取組むのか、何をしたいのか、自由に考え直してみることが大切です。
そう考えてみると自分たちの組織(会社)が何をしたいのか見えてきますし、それはとりもなおさず新しい業務展開だったり、商品開発だったりします。すなわち、自分たちの本業で何をしたいかが見えてきます。
省エネが大切な時代に自分たちの技術が活かせるじゃないか、もともと自分たちの事業は環境事業そのものじゃないか、私たちだってこんな素晴らしいことができるかもしれない、……いろんな発見があるはずです。
環境の取組でとくに大切なこと
まず法令の順守です。一に法令順守、二に法令順守です。
その次はいろいろありますが、国が定める環境関係の法律や、地方公共団体が制定する環境関連の条例などは、社会全体の約束事です。
現在、消費者や社会の目は、法律の順守に厳しい目を注いでいます。私たち自身、自分や家族の健康や安全などに影響するニュースや事象にはとても敏感になっている筈です。まして、環境に取組んでいる企業(組織)であることを示すなら、社会における環境関係の約束事を守ることは必須の条件です。審査員(EA21では審査人)や認証する機関でも、これだけは譲れないところです。
ISOやEA21、KESなど様々な環境関係の認証システムがあり、それぞれに違いはありますが、どの場合も環境法令の順守を厳しくチェックされます。ただ、厳しさのチェックや度合いは多少違います。基本的には、罰則規定がある事項についての法令違反は不可、あるいは違反状態が解消されるまでは認証を認めない、場合によっては違反状態の解消手立てやロードマップが確認できるまでは登録をしない、……といったことが通例です。
認証の為には仕方がない、と考えるよりも、むしろ環境企業として積極的に取組まれる事が会社(組織)を社会的に強くするはずです。
人と人とをつなぐ
酒巻技術士事務所のメイン技術者二人は、現在、信州大学農学部の地域コーディネーターを仰せつかっています。仕事は<中山間地域と大学をつなげる>ことです。
私たちにぴったりの仕事だと思い、この2年程、西へ東へ出掛けています。南は岐阜県恵那市、東は長野県千曲市、北は長野県栄村……がメインです。その他、コーディネータ―の仕事ではないですが、昔からの縁で青森県まで足を延ばしてEMSの講習に出掛けたりもしています。
人口が減少し、耕作放棄地が増える農山村地域でおばさん達と地域づくりを考え、厳しい経営環境の中小企業の方たちと自分たちにできる環境ビジネスの提案を考えたり、……いつも充実感のある疲れを感じます。
考えてみると、地域コーディネータ―も、じつはEMSも、結局は人と人のつながりが大切です。何故? ……EMS構築の短期連載で、そのことも少しずつ説明してみたいと思います。
(今後、『EMSをつくるコツ』『環境管理システムの違い』『環境法令一覧』……として、社員みんなで楽しく取組むコツを考えたり、いろんなシステムの違いを整理してみます。これからの作戦等の参考になれれば幸いです。)