中山間地域でマスタープランとしての景観計画をつくる試み(2011.3)
ここしばらく中山間地の課題に携わっています。場所は岐阜県恵那市の中野方町というところで、農山村の『景観計画』をつくるお手伝いをしてきました。ここ1年半ほど、信州大学農学部の木村和弘先生とチームを組んで『地域コーディネーター』という役割をいただいて、この町に通っています。
中野方町では、2010年の人口は1690人、550世帯が暮らしています。景観といえば、「見た目の外観」の議論になりがちですが、中野方のような農山村の景観を形成してきたものは、何よりも農業の生産活動と地域の長い営みです。
しかし今、その農業の継続を含め中山間地域が多くの課題に直面しています。高齢化が進む中でどうしたら農業の安定的な継続が可能なのか、後継者の問題、荒廃地の問題、教育の問題、福祉の問題……それぞれに絡み合いながら、地域がつくられ、景観がつくられています。
農山村の景観計画には、地域づくりを見据えた視点が必要だということがわかってきました。そしていろんな課題や取り組みをバラバラで捕らえるのではなく、それらを連携させていくことが大切だということも。
さて、中山間地の地域づくりは深刻な課題も多いのですが、なんといっても!ここの町の人たちはとても元気です。町を元気にする取り組みがあっちでもこっちでも育っていて、私たちの方では、それを将来に向けてどうつなげていったらよいのか、というところを大事にしました。
当初は、巡検やワークショップによる計画づくりを考えていたのですが、地元の方たちの現場を回り、地域の歴史を調べ、現在の様々な方たちの活動を徹底して取材し、それらの生の現場から未来プランをまとめる方法に切り替えました。
話しをお聞きした方たちは6歳の小学生から85歳の方までおられました。時に楽しく、ときには子どもたちとワークショップもしながら、笠置山の山中を歩きながら、河原で、畑で、朴葉もちをつくっておられる横で……いろんな話しを聞かせていただきました。
その結果、この景観計画は地域のマスタープラン(地域づくりの基本となる計画)のような計画となりつつあります。最も大切なことは、これをきっかけに、今以上に地域の未来が開かれていくことです。
中野方町のいろんな場所を訪れて、多くの方々と親しくさせていただく中で、この土地や人の魅力に引き込まれています。そんな話題を織り交ぜながら、これからもまた報告していきたいと思います。